引張試験動画は こちら
引張荷重の確認値は こちら
引張試験ご依頼フォームは こちら
JCAAでは、諸外国の試験方法を参考にして実験室で行う試験方法を1987年にまとめており、現場における、あと施工アンカーの耐力(引張・せん断)の確認方法については検討中です。このため、耐力試験は各社が独自の方法で、設計管理者、現場監督員各氏らと協議打ち合わせの上、実施しております。
1、目的
この規格は、対象母材に施工された「あと施工アンカー」強度(力学的性質)に関するデーターを作成するに当たり、共通の試験方法を規定するものである。なお、この規格は、試験室で行う試験を対象としたものである。
2、適用範囲
この規格は、あと施工アンカーの静的荷重試験の方法について規定する。
2-1アンカーの種類
対象とするアンカーは次の通りとする。
(1) 金属拡張アンカー
(2) 接着系アンカー(カプセル型)
(3) 軽量物取付アンカー
2-2対象母材
適用できる対象母材は、次の通りとする。
(1) 普通コンクリート
(2) 軽量コンクリート
JASS5鉄筋コンクリート工事に関する第1種および第2種圧縮強度21N/mm2とする。
(3) ALC
JIS A 5416に規定するオートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート製品とする。
(4) 石材(人造石を含む)
(5) その他 煉瓦、コンクリートブロック、圧縮成型板等
2-3試験
試験の種類は、次の通りとする。
(1) 引張試験
(2) せん断試験
3、試験条件
3-1アンカーの施工方法
(1)アンカーの施工は、あと施工アンカー施工要領書に規定した標準施工による。ただし、これ以外はメーカー仕様によるか、また特別な指定がある場合は、それに従う。
(2)アンカーは、原則として対象母材の施工面に垂直に施工する。
3-2対象母材
対象母材は、普通コンクリートとする。ただし、他の対象母材については、これに準ずる。
3-2-1普通コンクリート
コンクリートは原則として無筋とするが、試験結果に影響を及ぼさない範囲で、必要最小限度の運搬用補強筋、収縮防止用ラス等は使用してよい。
項目 |
仕様・条件等 |
圧縮強度 |
21N/mm2 |
スランプ |
16cm |
セメント |
普通ポルトランドセメント |
粗骨材 |
25mm以下 |
養 生 |
大気養生とする。
ただし、7日間以上は、散水その他の方法で湿潤状態におく。
また、直射日光や急激な感想および寒気に対して適当な養生を行う。
その他の条件はJASS5鉄筋コンクリート工事に従う。 |
(表1)
3-2-2コンクリートの大きさ
長さと幅は(表1)厚さについてはLe+5cm以上とする。
3-3アンカーの設置
アンカー単体で試験する場合、同一対象母材に2本以上アンカーを設置するときは隣接するアンカーがお互いに影響するよう配置する。
試験の種類 |
アンカーの種類 |
へりあき寸法 |
アンカーの間隔 |
引張試験 |
金属拡張アンカー |
≧2.0Le |
≧3.5Le |
引張試験 |
接着系アンカー(カプセル型) |
≧1.2Le |
≧2.0Le |
せん断試験 |
金属拡張アンカー |
≧2.0Le |
≧1.5Le |
せん断試験 |
接着系アンカー(カプセル型) |
≧1.2Le |
≧1.0Le |
(表2)
4、試験
4-1 引張試験
4-1-1 構成
引張試験装置は、荷重を加えてアンカーを徐々に引張る装置、荷重を測定する装置および変位を測定する装置で構成する。
4-1-2 荷重を加える装置
(1)荷重を加える装置は、試験荷重に対して十分な剛性をもつ構造でなければならない。
(2)荷重を加える装置は、アンカーに荷重を円滑に加えることができるものでなければならない。
(3)荷重を加える装置は、加える引張応力を受ける最も小さい断面で計算する。
(4)荷重を加える装置の脚部の間隔は、(表2)に示したアンカー間隔を参考とし、アンカー強度に影響を及ぼさないようにする。
4-1-3 荷重を測定する装置
(1)荷重を測定する装置は、アンカーに加えられた荷重を、常に定期的に示しまた荷重変化が著しい進み遅れ無しに正確に測定できるものでなければならない。
(2)荷重測定する装置の精度は、±1.5%以内とし、最少読取値で予想最大引張荷重の1/20(5%)以下の荷重を測定できるものとする。
4-1-4 変位を測定する装置
(1)変位を測定する装置は、アンカーの変位を常にまたは定期的に示し、また変位を著しい進み遅れ無しに正確に測定できるものでなければならない。
(2)変位を測定する装置の精度は、±0.02mm以内とする。
(3)変位を測定する装置は、原則として荷重を加える装置から独立し、荷重の影響を受けないところに設置するものとする。
4-2 せん断試験
4-2-1構成
せん断試験は、アンカー筋に徐々にせん断荷重を測定する装置、および変位を測定する装置で構成する。
4-2-2荷重を加える装置
(1)荷重を加える装置は、試験荷重に対して十分な剛性をもつ構造でなければならない。
(2)荷重を加える装置は、アンカー筋に荷重を円滑に加えることができるものでなければならない。
(3)荷重を加える装置は、加えるせん断応力の平均増加率が毎秒 2kgf/mm2(19.6N/mm2)以下の速度に対応できるものでなければならない。この時のせん断応力は、アンカー筋のせん断応力を受ける最も小さい断面で計算する。
(4)荷重を加える装置の脚部の間隔は(表2)に示すアンカー間隔を参考とし、アンカーに強度を及ぼさないようにする。
(5)アンカーに荷重を加える、せん断プレートの穴径は(表3)を参考にする。
(単位:mm)
径 |
孔径 |
径 |
孔径 |
径 |
孔径 |
径 |
孔径 |
6 |
6.6 |
10 |
11.0 |
16 |
17.5 |
22 |
24.0 |
8 |
9.0 |
12 |
13.5 |
20 |
22.0 |
24 |
26.0 |
(表3)
4-2-3 荷重を測定する装置
(1)荷重を測定する装置は、あんかーに加えられた荷重を、常に定期的に示し、また荷重変化を著しい進み遅れ無しに正確に測定できるものでなければならない。
(2)荷重を測定する装置の精度は±1.5%以内とし、最少読取値で予想最大せん断荷重の1/20(5%)以下の荷重を測定できるものとする。
4-2-4 変位測定する装置
(1)変位を測定する装置は、アンカーの変位を、常に定期的に示し、また変位を著しい進み遅れ無しに正確に測定できるものでなければならない。
(2)変位を測定する装置の精度は±0.02mmいないとする。
(3)変位を測定する装置は、原則として荷重を加える装置から独立し、荷重の影響を受けないところに設置できるものとする。
5 試験方法
5-1 引張試験方法
5-1-1 試験装置の設置
(1)荷重を加える装置は、安定した状態になるよう設置する。
(2)荷重を加える脚部は、アンカーボルトが中心位置になるよう設置する。
(3)荷重を加える装置は、アンカーボルトの軸線に沿って荷重を加えられるように設置する。
(4)変位を測定する場合の測定位置は、原則として母材に近い位置とする。ただし、補正により任意の円を選ぶことができる。
5-1-2 荷重測定
荷重速度は4-1-2(3)に基づき、できるだけ一定になるよう行い、荷重測定はアンカーボルトの抜け、コンクリーとの破壊あるいは、アンカーボルトの破断まで行う。その過程で測定した最大値をもって最大荷重とする。
5-1-3 変位測定
変位測定は、アンカーボルトの抜け、コンクリートの破壊あるいはアンカーボルトの耐力(0.2%)または、降伏点より求めた荷重まで行う。ゼロ点の設定については、荷重一変位曲線上の直線部分に接線を引き、変位軸と交わった点をゼロとする。ただし、初期荷重を加える場合は、予想最大荷重の5%または200kgfのうち、小さい方の値以下とする。
5-2 せん断試験方法
5-2-1 試験装置の設置
(1)荷重を加える装置は、安定した状態になるように設置する。
(2)荷重を加える装置の、脚部は、アンカーボルトが中心位置になる様に設置する。
(3)荷重を加える装置は、アンカーボルトの軸線に直角に荷重を加えられるように設置する。
(4)せん断プレートには原則として締付け力を加えない。ただし、せん断プレートに締付け力を加える場合は、せん断プレートと母材の間に動く摩擦力の影響をできるだけ少なくするような処置をとる。
5-2-2 荷重測定
荷重速度は、4-2-2(3)に基づき、できるだけ一定になるように行い、荷重の測定は、コンクリートの破壊あるいは、アンカーボルトの破断まで行い、その過程で測定した最大値をもって最大荷重とする。
5-2-3 変位測定
変位の測定は、最大せん断荷重まで行う。